ケアマネージャーの独立開業物語

就職

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私が福祉の世界に飛び込んだのは今から約8年くらい前になります。それまでにはかなり紆余曲折がありました。初めて就職したのは秋葉原の電気メーカーで、そこでは法人営業部に配属されました。毎日、秋葉原の電気街を自転車でかけ回る日々でしたが、とても楽しく、また、やりあがいのある仕事でした。

 

残業も少なかったので、アフターファイブも充実していました。自宅から遠かったことを除けば、この頃の想い出は今では楽しいことばかりです。ところが、数年後のある日、突然、事務部門へ異動となりました。

 

これまでとあまりに職場環境が変わってしまったので、苦痛でたまらなかったのを覚えています。この異動により事務の仕事は自分には向いていいないことがわかりました。そしてここから、本当に自分は何をやりたいのだろうという自分探しが始まりました。

 

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天職

数ヵ月後、会社に辞表を提出しました。その後は、少しでも興味のある仕事であればわず応募し転職を繰り返しました。つなぎでアルバイトもしました。片手で収まらないくらいです(笑)・・・

 

そんなこんなでとりあえず派遣会社に落ちついていたのですが、今度はその派遣会社の経営があやしくなり、次の仕事を探さなくてはならなくなりました(悲)。

 

この頃、派遣先でお年寄りとお話したり、お世話をすることが何度かあり、とてもやりがいのある経験をしました。その頃は、何かお年寄りとかかわる仕事がしたいなと漠然と思っていました。また、当時、エステが流行っていたこともあって、エステシャンになりたいなとも考えていました。

 

まったく異なる業界でしたので、さてどうしましょう?・・・と、冗談ではなく本当に真剣に悩んでいました。

 

家族に相談したり、エステ業界のこと、これからの高齢化社会のことなど色々と調べてみたら、自分にはお年寄りにかかわる仕事がいいのではと考えるようになりました。今振り返ると、この時の選択を誤っていたら今の私はないかもしれません。

介護型老人病院

お年寄りにかかわる仕事というのはどんな仕事があるのかさえ知りませんでしたが、「介護」という仕事にたどりつくまでには時間はかかりませんでした。

 

ただ、当時ラッキーだったのは、まだ資格や経験がなくても施設や病院での福祉の求人がかなりありました。介護保険制度が始まる前でしたのでヘルパーさんなども少なかったのです。

 

早速、日曜日の朝刊の折込に入ってきた介護老人型病院の求人募集に応募し、面接を受けたのでした。若い人が介護の世界に天職するというのは今ほど多くなかったので、面接のときに先生がとても心配してくださいました。

 

今すぐ決めないで、おうちに帰ってからご家族の方とよく相談して、それでもやりたいと思ったらぜひきてくださいとおっしゃられたのを今でもよく覚えています。

 

もちろん、ヤル気満々でしたので、すぐに採用していただき、働くことになりました。天職とはまさにこのこと、結局、私は7年以上もこの病院でお世話になることになったのです。仕事はとてもやりがいがあり毎日楽しかったのですが、それでも、早番、遅番、当直(夜勤)などの勤務形態だけは最後までなじむことができなかったです。

 

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ホームヘルパー2級

仕事にもなれてきた頃、医療や福祉の世界では何か資格をとっておいた方がいいよという先輩方のアドバイスなどもあり、またこの頃から同業界への天職でも実務経験+資格が当たり前になっていましたので、私もがんばって資格を取得しようと思いました。

 

まずはじめに取得したのがホームヘルパー2級でした。これは、在宅介護も経験してみたい!筆記試験がないからラクそう(!?)という理由で安易に考えてのことだったのですが、日程の調整がとても大変でした。

 

私の職場は基本的に定休日というものがなく、2か月前に希望をださないといつ休みがとれるかわからなかったからです。しかもその希望も通るとはかぎりませんでしたし・・・

 

そういうわけで、公共の安く開催されている講座には申し込めるはずもなく、民間の通信講座+実地研修という講座に申しこまざるを得ませんでした。

 

たった3日間の実地研修でしたが、日程の調整はホントに大変だったのを覚えています。確か夜勤明けで行ったような・・・(悲)。資格取得後、少しだけですが、非常勤でヘルパー会社に登録して休日にホームヘルパーの経験もしました。

介護福祉士受験

その後、先輩が介護福祉士の勉強をしている話を聞き、興味があれば教材をタダであげるよと言われて、介護福祉士を目指すことになりました。せっかくいただいたんですけど、その教材はいつも枕代わりになっていました(笑)。。。

 

なんとその教材、全部で十数冊で、高さにすると膝くらいまであったのです・・・(ホントに先輩これ全部読んだんですか?)1年目はその教材と本屋で薄い問題集を買って受験しました。自分なりにはがんばった(?)つもりでしたが、見事不合格でした。自業自得でしょうか?・・・(悲)

 

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介護福祉士再チャレンジ

家族に独学では無理!と言われたこともあり(1年目も言われていました…実は…)、2年目はきちんとした学校で勉強しようと思っていました。といっても相変わらずの不規則な仕事だったので、通学は絶対無理でした。なので、通信講座での再チャレンジということになったのです。

 

1年目で思い知らされたのは、圧倒的に自分には時間がないということでした。週休2日といってもそのうち1日は夜勤明けなので半分は睡眠にとられてしまう、おまけに残りの1日も全部を勉強時間にはあてられない・・・

 

もうこれは、普通のやり方では無理というのはわかっていたので、ある作戦をとりました(笑)。作戦といってもそんな大げさなものではないのですが、テキスト・問題集は最低限のもの1冊だけしか使わない、書くのは時間がかかるので声を出して覚える。よくわからないものは、問題と回答をそのまま暗記してしまう・・・ナドナド。

 

実際には、電車の中や夜勤務の時間のあいた時は、カセットテープに自分の声で暗記事項吹き込んで、それを2倍速で何回も聞いたり、入浴中にテキストを朗読したりしてました。これなら、いっつも眠い私にもできますから・・・。

 

それと、専門学校の模擬試験は実際に受験はできなかったのですが、問題に答えを書き込んで何回も音読しました。薄っぺらなテキストも、最後はぼろぼろでした(合格後、友人にテキストを譲ってくれといわれましたが、とても人にお見せできる状態ではなくなっていました(悲))。

 

まわりが気にならないといったら嘘になりますが、ダメならダメでしょうがないと思って、もう直前期も割り切ってひたすら音読していました。

介護支援専門員(ケアマネージャー)受験

何とか介護福祉士の方は合格できたのですが、せっかく勉強するクセもついてきたところなので、次は介護支援専門員(ケアマネージャ)を受験しようと決めました。

 

私の勤務していた病院では、まだすべてが電動ベッドになっていなくて、手動のものも多く残っていました。これが結構重労働で、ちょうどこの頃、腰痛や手の腱鞘炎に悩まされていました。

 

ケアマネージャーを選んだのは、今はいいけれど、将来身体がきつくなってきたときにでも介護の仕事にかかわれたらいいなというのがその理由です。まだケアマネージャーという資格自体が新しいものだったので、情報も乏しかったですが・・・。

 

独学とは違うといっても、通信講座なので、やはり情報が隔たりがちです。私は、どんたくアカデミーというホームページを知ってから、そのサイトを頻繁に訪問し、情報収集と気分転換をしていました。

 

ここではケアマネの先輩方と知り合うこともできました。現在、ケアマネのオフ会にもときどき参加しています。ケアマネージャー試験の勉強の仕方は、介護福祉士試験と同じ方法をとったので、こちらの方は1回で無事に合格できました。

 

たぶん点数はギリギリだったと思うので、このときはホントにうれしかったです。あいかわらずテキストはボロボロで喫茶店や電車の中で広げるのは少々恥ずかしかったですが・・・。

 

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天職

せっかくケアマネージャーの資格を取得したのですが、勤務している病院ではケアマネの仕事はできませんでした。不規則な勤務時間で身体に不調もみられました。

 

この頃、将来的な独立も考えていましたので、病院を退職し、大手の介護事業所に勤務し始めました。はじめに1年間という約束で勤務していましたので、とにかく何でも勉強と思って一生懸命させていただきました。

 

会社は利益をあげなくてはいけないのはわかってはいるのですが、私としてはもう少し利用者さん側に立って仕事をしたいなといつも悩みながら仕事をしていた時期です。独立したら絶対利用者さんのことを一番に考えて仕事をするぞ!と決意させてくれた貴重な経験でした。

独立開業

介護事業所の退職と同時に自分の事業所が開業できるように準備をすすめていました。家族の協力も得て、ちょうど半年くらい前に会社を設立し、2か月前には東京都への届出も済ませました。こういった手続きははじめ難しそうだなと感じていましたが、やってみればどうってことはないなというのが感想です。

 

とにかく、わからなかったら役所に聞けばいいんですよね。これは、今のケアマネの仕事と一緒です。事務所の間取りの問題で何度か改善するよういわれたりもしましたが、無事予定日に開業することができました。看板だけは業者に頼みましたが、名刺やパンフレット、このホームページも全部手作りで心をこめて作りました。

 

私の活動範囲である渋谷区、新宿区、港区は在宅介護支援センターをはじめ、区役所、他の事業者さん、他のケアマネさんなど本当に親切な方々が多く、恵まれているなと毎日感謝しながら仕事をさせていただいています。

 

私の事業所にケアマネは一人ですが、介護の仕事自体は他の事業所のヘルパーさんや福祉用具の会社、在宅支援センター、福祉事務所、区役所の方々など様々な方々に支えられ、またそれらの方々との連携により成り立っています。

 

私としては、独立開業当時の初心を忘れることなく、ご利用者様にとって最善のケアマネージメントをさせていただくことで、これらの方々にお返ししていきたいと考えています。毎日が勉強(たぶん一生勉強?)の介護の仕事ですが、これからも精一杯がんばっていきます!

 

今後、介護保険制度の改正がどうなるかによっても変わってくると思いますが、理想は、ケアマネージャーが何人かいる事業所です。同じ志しの人が集まって仕事ができたらいいなと思っています。

これからケアマネージャーを目指す方へのメッセージ!

安定した収入をということでしたら、施設勤務や病院勤務が一番いいのかなと思います。区役所などでもたまに募集があります。介護事業所でしたら、ケアマネージャーの独立性が確保されているところをぜひ選んでいただきたいところです。

 

収入もあまり多くない(かなり少ない!?)けれど、利用者さんのためにオモイッキリ仕事をしたいというあなたには、もちろん独立をおすすめします。

 

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